インフラエンジニアはパソコンを使って仕事をするのはなんとなくわかるけど、具体的にどんなことをするのか「いまいちイメージできない」という人は多いのではないでしょうか。
インフラエンジニアには、大きく分けて「設計・構築・運用保守」という仕事があります。
この記事を書いている人
- 過去に2回の転職を経験
- 営業からIT系への転職経験あり
- 現在は半分サラリーマンで半分フリーランス
最初はスキルや経験がなくても担当できる運用保守の仕事をすることが多いです。
その後、構築、設計の仕事へ進んでいきます。
この記事でわかること
- インフラエンジニアの役割
- 「設計・構築・運用保守」ではそれぞれどんなことをするのか?
- それぞれの仕事で意識するべきこと
この記事を読めば「設計・構築・運用保守」それぞれの仕事内容が理解でき、どういったキャリアプランを目指すのが良いかがわかります。
インフラエンジニアとして活躍したい人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
インフラエンジニアはITに欠かせない存在
インフラエンジニアとは、ITのインフラ(基盤)を担当する技術者のことを指します。
インフラとは、例えば生活における「電気・ガス・水道」のような、無くてはならないものです。
ITのインフラとは、ITサービスを稼働させるために必要なサーバやネットワークなど、基盤となる機器や設備のこと。つまり、ITシステムにとって無くてはならないものです。
つまりインフラエンジニアがいないとITシステムは成り立たないため、とても大切な役割を担っています。
詳しくは以下の記事を読んでみてください。
関連記事【わかりやすく解説】インフラエンジニアとは?未経験者向けに解説
インフラエンジニアの種類
インフラエンジニアは、大きく2つの種類に分かれます。
インフラエンジニアの種類
- サーバーエンジニア
- ネットワークエンジニア
サーバーエンジニアとは、サーバーの設計、構築、運用保守などをする人です。
ネットワークエンジニアとは、サーバー同士をつなぐネットワークに関係する仕事をします。
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアを兼任する人も多いです。特に小さなプロジェクトではだいたい兼任します。
逆にプロジェクトの規模が大きくなると役割が細分化されることも多く、以下のようなインフラエンジニアもいます。
- データベースエンジニア
- セキュリティエンジニア
- クラウドエンジニア
最近注目なのはクラウドエンジニア。これからインフラエンジニアを目指す人は、クラウドエンジニアを目標にしてキャリアプランを作ると将来性があってよいでしょう。
詳しくはこちらで解説します。
関連記事インフラエンジニアの種類は大きく分けて2つ!それぞれの役割を解説
インフラエンジニアの仕事は大きく分けて「設計・構築・運用保守」
インフラエンジニアの仕事は、大きく分けて以下の3つの仕事があります。
3つの仕事
- 設計
- 構築
- 運用保守
この中でも、高度なスキルや経験が必要とされない運用保守の仕事は未経験からでも挑戦しやすいです。
運用保守から始まって→構築→設計とステップアップする場合が多く、稼げるインフラエンジニアの王道パターン。
次の章から、それぞれの仕事内容について詳しく解説します。
運用保守の仕事内容
運用保守の仕事には、以下のような仕事があります。
運用保守の仕事
- システム監視
- トラブル対応
- メンテナンス
順番に解説していきます。
システム監視
システム監視の仕事では死活監視を行います。
死活監視とは、システムが正常に使える状態かどうかを監視することです。
通信ができない状態や、アプリがフリーズしている状態になるとシステムが機能しません。
そういった状態になるとアラームがあがるので、すぐに対応してシステムへの影響を最小限に抑えるのが仕事です。
また、ハードウェアやソフトウェアなどに障害が起こらないように、サーバーのリソース監視を行います。
リソースとは、CPUの処理速度やメモリ容量、ストレージ容量のこと。
リソース監視とは、リソース不足でプログラムが動かなくなってしまわないように監視することです。
ほかにも、外部から攻撃や異常なアクセスがないかなど、ログファイルのチェックも行います。
トラブル対応
トラブルが発生した場合、トラブル対応も運用保守の仕事です。
例えば、このようなトラブルが発生する場合があります。
- ハードウェアの故障対応
- ソフトウェアの異常(バグ)の一次対応
- その他、トラブルの原因調査
運用保守は、トラブルの原因を解明し早期復旧が求められます。
また、機器交換で復旧させる場合に必要であるキッティングの業務も運用保守の仕事です。
キッティングとは、パソコンやネットワーク機器をすぐに使用できるようにしておくことを指します。
トラブルは24時間365日いつ発生するかわかりません。
交代制で勤務することになるため、運用保守には夜勤業務がつきものです。
「絶対に夜は寝たい」という人は、インフラエンジニアは向いていないかもしれませんね。
関連記事インフラエンジニアに向いている人の特徴9選!向いていない人もご紹介
メンテナンス
運用保守には、以下のようなメンテナンス業務もあります。
- アプリやセキュリティソフトなどアップデート
- 消耗品の補充
- 古くなった機器の部品交換や入れ替え
- マシンの清掃
トラブル発生を予防するためにも、定期的なメンテナンスは重要な仕事です。
予備品の在庫管理をしている場合もあります。予備品はトラブル対応用の機器と兼用するのが一般的です。
構築の仕事内容
構築の仕事では、設計書をもとに以下の流れで進んでいきます。
構築の仕事内容
- 物理作業
- 設定作業
- テスト
順番に解説していきます。
1.物理作業
物理作業で行うのは、設計で決定したハードウェアやソフトウェアなどの発注や搬入です。搬入後はラッキングとケーブリングも行います。
ラッキングとは日の当たる場所を避けたり空調を考慮して、サーバーや通信機器などを専用のラックに設置すること。
ケーブリングとは、ネットワーク機器同士をLANケーブルなどの配線をつなげることです。
ラッキングとケーブリングでは、作業をしやすくするために十分な作業スペースを確保する必要があります。
2.設定作業
物理作業が終われば、このような設定作業を行います。
- ネットワーク
- ハードウェア(サーバーやPC,ストレージなど)
- ソフトウェア(OSやアプリケーション、ミドルウェアなど)
- セキュリティ
- バックアップ
インフラで使用する機器はだいたい決まっています。ですので、プロジェクトごとに作業手順が大きく変わることはありません。
ただし新しく導入された機器だったり、機器のバージョンが変わったりすると今までの設定どおりには行かないことも少なくありません。そもそも設計書が間違っていることもあります。
トライアンドエラーを繰り返し問題を解決していきます。サーバーを機能させネットワークをつなげ、使用可能な状態にして次の工程です。
3.テスト
設定作業が終わると、システムが正常に動作するかのテストを行います。
テストは以下のような順番で行われます。
- 単体テスト・・・機器が動作するかのテスト
- 結合テスト・・・複数の機器や他システム同士で連携して動くかのテスト。内部結合と外部結合がある。
- 総合テスト(システムテスト)・・・システムとして機能するかのテスト
- 負荷テスト・・・設計で想定された最大の負荷に耐えられるかなどのテスト
- 障害テスト・・・一部障害が発生した状態でもシステムが使えるかどうか冗長性を確認するテスト
- 運用テスト(シナリオテスト)・・・実際の運用を想定したテスト。エンジニア主体のテストとエンドユーザー主体のテストがある。
負荷テストが総合テストに含まれるなど、はっきりとした線引きがされないこともあります。
また、総合テスト以降は別途テストを行う専門のエンジニアが対応する場合も。
このあたりのテストに関しては「若手エンジニアの羅針盤」というサイトがとても詳しく書かれていましたのでご紹介します。
実際に働いてみないとイメージがわかないかもしれませんが、なんとなく見ておくと良いでしょう。実際にインフラエンジニアになってから見返すとより理解しやすいかもしれませんね。
設計の仕事内容
設計の仕事は顧客と折衝をし、システムに必要なサーバーやネットワーク環境を決めていきます。設計をもとに構築も運用保守も動きますのでもっとも重要な仕事です。
ほか以下のような仕事内容があります。
設計の仕事
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
順番に解説していきます。
要件定義
要件定義とは、システムの構築や導入、問題のあるシステムの置き換えなど、顧客から依頼された必要な要件や希望をまとめる工程を指します。
わかりやすくいうと、顧客からの「こんなシステムの機能が欲しい」という希望をまとめる工程のことです。
要件定義の工程では、まず顧客に対してRFPの発行を依頼します。
RFPをもとに、顧客との調整を行います。
具体的には、RFPの内容に対して要件を明確にするためにヒアリングを行い、顧客が希望する要件を満たせるように調整するのです。
顧客との調整ができたら、要件定義書を作成します。
要件定義書とは、RFPをもとに顧客と調整した結果、具体的にどのような計画で進めていくのかをまとめた書類のことです。
要件定義書をしっかり作っていないと、顧客の要件や希望との食い違いが生まれるとシステム構築の根本がブレます。
無理なスケジュールや予算が不足することになってしまいがち。つまり炎上プロジェクトまっしぐらです。
ですので、要件定義書の作成は超重要なのです。
基本設計
基本設計とは、要件定義で決まった内容を具体化するために、システムの概要(ルール)を考える作業を指します。
要件定義書をもとに要件定義を正確にシステムに反映させる重要な工程です。
基本設計では、以下のような項目を設計します。
- ネットワーク構成図
- 機器構成図
- 通信要件
- 冗長化の方法
- セキュリティ
基本設計は、顧客によるチェックと承認を繰り返しながら、顧客との認識のズレがないよう進めていきます。
こうして基本設計で決定した内容をまとめて文書化し、基本設計書を作成するのです。
顧客の要件を実現するために、予算を加味しながら機器選定も行っていきます。
詳細設計
詳細設計とは、基本設計書をもとに実際にサーバーやネットワーク機器への設定ができるように詳細を決める作業のことです。
プロジェクトによっては機器の設定値が書いてあるだけの「パラメーターシート」と呼ばれるものが詳細設計書の代わりになることもあります。
基本設計では、顧客の評価と承認を繰り返しながら進めていきますが、詳細設計からは基本的にインフラエンジニア側で進めていきます。
詳細設計で決まったことがそのまま次の構築工程へとつながっていくため、構築工程で困らないような機器の設定やテストのやり方など、細部の設計まで決めていく必要があります。
インフラエンジニアの仕事が向いている人
「運用保守・構築・設計」それぞれの仕事内容について解説してきました。
いずれの仕事でも共通して必要なスキルがあり、下記のような人はインフラエンジニアに向いています。
向いている人3選
- コミュニケーション能力がある
- パソコン操作が苦手ではない
- ネットで検索できる
インフラエンジニアの仕事は個別の作業だけでは成り立ちません。ですのでコミュニケーション能力は超重要です。
運用保守では顧客からトラブルの情報を正確に聞き出し、専門的なエンジニアに正確に状況を伝えなければなりません。
構築ではアプリを作っているエンジニアとの連携や、プロジェクトマネージャーへの進捗報告など、コミュニケーション力を発揮しないといけない場面が多々あります。
設計では顧客と直接やりとりすることも多く、コミュニケーション能力がないと致命的と言えるでしょう。
インフラエンジニアはルーターやサーバーなどの機器を触る機会が多くあり、設定方法やトラブル対応時にはネットで検索しながら細かい作業をすることも多いです。
ですのでネットで必要な情報が検索でき、パソコン操作に苦手意識がない人ならインフラエンジニアに向いていると言えます。
詳しくはこちらで解説していますので参考にしてください。
関連記事インフラエンジニアに向いている人の特徴9選!向いていない人もご紹介
ステップアップを意識しながら仕事をするのが大事
運用保守の仕事は、浅いスキルや未経験の初心者でも対応できる仕事である反面、仕事内容や給料面から考えて運用保守だけやっていても将来性がありません。
そのため運用保守を経験して、構築や設計にステップアップしていくのが王道のパターンです。
ステップアップしたくても、会社自体に運用保守以外の仕事がないなら会社を変えた方がいいでしょう。
スキルアップは自身の努力でできますが、ステップアップできるかは会社の環境によります。
未経験の場合は、まずは運用保守の仕事で経験を積み、経験者としてステップアップで転職するのも賢い選択肢の1つです。
ステップアップのための転職は決して悪いことではありません。IT業界は転職で給料を上げていくことが多く、即効性があるのでむしろ積極的に活用するべき戦略なのです。
転職を考える場合、IT転職エージェントに相談することをおすすめします。
IT転職エージェントは、IT業界に精通しているプロのエージェントです。無料でプロの力を借りられるので使わないと損と言えるでしょう。
- 非公開求人の紹介
- 職務経歴書の添削
- 面接対策
- 面接日のスケジュール調整
- 条件の交渉
こちらの希望や条件についても、すべて会社側に相談や交渉をしてくれます。
IT系に強い転職エージェントは複数ありますが、未経験からインフラエンジニアになるなら、 ウズキャリ がおすすめです。
徹底したブラック企業の排除を宣言しているので、安心してお願いできますよ。
ステップアップして条件を良くしていくと言っても、ブラック企業で消耗して潰れたら元も子もないですからね。
ウズキャリIT
IT学習のサポートも無料で受けられる、ITエンジニアに特化した転職サービスです。既卒・第二新卒・フリーター・ニートの内定率83%以上の実績が示すように、キャリアに自信のない人でも安心して挑戦できます。
徹底してブラック企業を排除することに力を入れていて、入社した人の定着率は93%以上と非常に高いです。未経験からITエンジニアを目指すなら登録すべきサービスといえます。
その他おすすめの転職エージェントは、以下の記事で紹介しています。
「運用保守・構築・設計」どの仕事内容が一番良いかとかはない
ここまで解説してきたように、待遇や必要なスキルは「運用保守→構築→設計」の順に高くなります。
ですが運用保守が劣っているとか、全員が全員設計を目指さなくてはならないかとか、そんなことはありません。
運用保守の仕事がなければITサービスは成り立ちませんし、運用保守でもめちゃくちゃ頭の切れる優秀な人もいます。
逆に「よくそれで設計やってんな」って感じのポンコツエンジニアもいるんです。(本当に失礼ですけどポンコツな人でした。当然炎上プロジェクト。)
私はそれぞれ一通り経験し、一番面白かったのは構築の仕事ですね。機器を組み上げる楽しさも、そこそこ発生する謎のトラブルも調べながら対応するのが楽しかったんです。
もちろん運用保守で学んだ基礎スキルが役立ったのは間違いありません。
設計では大きな経験ができて自身の成長につながりましたが、激務すぎてちょっと病み気味でした笑(設計の問題というよりプロジェクトの問題でしたね。)
でも不思議なもので、経験を積んだ後は「もう一度あのプロジェクトをやり直したい!」と思ったものです。あれだけ激務でつらいと思ったのに。
話を戻すと「運用保守→構築→設計」の順で待遇は良くなりますし、身につくスキルも高くなることが多いです。
ですが、自分が「楽しい」と思える仕事ができるのが重要だと思います。やってみないと楽しさはわからないので、設計を目指しながらステップアップするのはとても大切なことですよ。
最後にお伝えしておきたいのは、運用保守が「楽しい」ではなく「楽」だからやっているだけだと、将来使えないエンジニアになって詰むので注意してください。
まとめ:インフラエンジニアの仕事内容を理解して次のステップへ進めるようになろう
ここまでインフラエンジニアの仕事内容について解説してきました。
インフラエンジニアには、多く分けて3つの仕事内容があります。
3つの仕事
- 設計
- 構築
- 運用保守
インフラエンジニアは運用保守の仕事から経験することが多いです。運用保守の仕事は、スキルや経験がなくても対応できます。
しかし、運用保守だけの仕事では将来性がないため、構築や設計の仕事にステップアップすることが大切です。
自身のスキルアップをしながら、運用保守の仕事で経験を積んで次のステップへ進めるようになりましょう。
次のステップに進むためには、会社が設計や構築の仕事を扱っていないと実現できません。
運用保守しかやっていない会社もあるので、転職する場合は注意しましょう。
まずは運用保守を経験して、インフラエンジニア経験者となってからステップアップのために転職するのはアリです。
その場合は、ブラック企業に入ってしまってそこで力尽きないようにしなければなりません。ステップアップどころじゃないですからね。
未経験からインフラエンジニアを目指すなら、ブラック企業の徹底排除を明言している ウズキャリ がおすすめです。
実際に転職をしなくても大丈夫なので、インフラエンジニアに少しでも興味があるなら登録して相談だけでもしてみてはどうでしょうか。
ここまで読んでいただきありがとうございました。インフラエンジニアの仕事内容が少しでもイメージできるようになれば幸いです。
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